尿漏れ・尿失禁

尿失禁(尿漏れ)とは?

「自分の意思とは関係なく、尿が漏れてしまうこと」と定義されています。症状自体は命に関わるものではありませんが、日常生活に大きな支障を来すことも多く、精神的苦痛や社会性低下を伴う場合もあるデリケートな問題です。
正常の場合、尿失禁が起きないのは、膀胱内圧より尿道圧の方が常に高いからです。
尿失禁には、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、溢流性尿失禁、機能性尿失禁の4種類があります。

尿失禁の原因

尿失禁が引き起こされる原因は様々です。排尿を支配する神経が、加齢などによって低下することが原因の場合もあれば、膀胱がんや前立腺がんなどの深刻な病気が原因の場合もあります。治療法も原因によって異なり、加齢などで生じた生理的機能低下が原因の場合は、難治性であることが予想されます。
尿は腎臓で生成され、尿管を通過した後、膀胱に蓄えられます。膀胱は伸縮性のある筋肉でできている臓器であり、成人であれば500ml程度の尿を貯めることが可能です。そして、一定以上の尿が貯まって膀胱の筋肉が伸展すると、その刺激が脊髄から脳に伝わって尿意が引き起こされます。しかし、尿意を感じても、すぐに排尿が生じるわけではありません。尿意を感知した脳からは、尿意を我慢するようにとの指示が膀胱や尿道に伝えられます。
尿失禁はこれらのルートに何らかの異常が生じることによって引き起こされる症状です。

尿失禁の種類

腹圧性尿失禁

重い荷物を持ち上げたり、咳やくしゃみをした際に腹圧がかかって生じる尿失禁です。女性の尿失禁で最も多いタイプで、週1回以上経験している女性は500万人以上と言われています。加齢による筋力の低下、肥満や妊娠によるダメージにて骨盤の筋肉が緩むことにより生じます。

切迫性尿失禁

膀胱が勝手に収縮してしまい、突然強い尿意が出現し、トイレに間に合わずに尿を漏らしてしまう状態です。外出中や、乗り物に乗っている時に大変困ります。多発性硬化症、Parkinson症候群、脳梗塞などが原因疾患で挙げられます。急性膀胱炎の尿意切迫もこのカテゴリーに入ります。

溢流性尿失禁

何らかの原因で排尿が困難となり、膀胱から溢れ出るように尿失禁してしまう状態です。男性では前立腺肥大症が原因疾患として挙がりますが、直腸がんや子宮がんの術後にもよく見られます。長期で放置をすると、慢性腎不全や頻回な尿路感染症を引き起こします。

機能性尿失禁

歩行機能や認知機能障害により、トイレに間に合わないことで起こります。排尿機能自体に問題はありません。

尿失禁の検査

まず問診を行います。排尿日誌を数日間記録してもらうことで、排尿状態や尿失禁の程度を把握します。尿検査、超音波による残尿量測定など、身体に負担のない検査で診断がつきます。必要に応じて、膀胱鏡検査や尿流動態検査などを実施する場合もあります。

尿失禁の治療

超音波検査や排尿日誌を確認しながら、尿失禁のタイプを確認した上で治療を開始します。
腹圧性尿失禁は骨盤底筋群の筋力低下が原因であることが多く、骨盤底筋のトレーニングを行います。干渉低周波治療器(当院導入済み)や手術により、漏れを改善させる方法もあります。また、肥満傾向の強い患者様では、減量も大変重要になってきます。薬物療法もありますが、治療効果は限定的な印象です。
切迫性尿失禁では、抗コリン薬やβ3受容体作動薬による薬物療法にて膀胱収縮を抑えます。副作用が比較的多い薬剤群にて、充分な経過観察を行いながら内服を継続していきます。また、排尿を我慢する練習(膀胱訓練)をお勧めすることもあります。
溢流性尿失禁では、原因疾患の治療が優先的に行われます。残尿量が顕著に多い場合には、尿道カテーテル留置や自己導尿指導を速やかに開始し、次のステップに進みます。
機能性尿失禁については、排尿の習慣を身に付けるトレーニングを行います。
尿失禁のタイプをまず評価することが大切です。受診が恥ずかしいと考えずに、また年齢的なことだと諦めずに、当院に相談してみて下さい。

尿失禁の予防

日常の運動の中に、骨盤底筋トレーニングを盛り込みましょう。実施の仕方については、是非ご相談下さい。
また急激に体重増加があった方は、ダイエットが明らかに効果的です。

尿意が無いのに尿漏れ?

尿意が鈍くなる代表的な病気は糖尿病です。末梢神経障害の一症状です。
また、脊髄のトラブルでも同様のことが生じます。外傷、腫瘍、血管障害、多発性硬化症などが原因として挙げられます。

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…第2週・第4週は午前中、聖路加国際病院にて診察。
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